NO.772022
･ディケイド亜喜良さん(男性/30歳)
2012/05/05 21:59:53
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ある民家で開かずの間を取り壊した現場に立ちあった事がある。
そこは昔、この家にお住まいの奥さんの兄が幼い頃に閉じ込められていたようで…
話によると、その兄は知能障害があり尚且つ奇形の容姿で唸るように常に暴れていて両親は手をやき厚い土壁で出来た「後年開かずの間」といわれるその部屋に閉じ込めたそうな。厚い格子の扉が入口で中には木で出来た便所がひとつ、井戸水の溜まりがあり、無数に厚い土壁を引っ掻き回した後があった。
又、厚い格子の扉の下には猫が出入りする位の僅かな扉があった。
どうやら食事を与えるための隙間らしく、食事を差出すと勢い良く掴み取り貪りつくように食べたと言う。
四つん這いになって歩き回る姿は子供の頃の奥さんからして見れば異常な光景と恐怖に満ち溢れた事だろう。
昔は、戦争で子孫繁栄に貧しく、血の濃い血縁同士での婚姻が多く、奇形児や知能障害の子が産まれたらしい。
古い民家が僅かに建ち並ぶ村だったから、自分は横溝正史の世界を思い出してしまった。
なんだか、そのお兄さんが可哀想に思えてならない。
その後のお兄さんの人生がどうだったかは、とても自分からは聞けなかった。
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